少し前のことになりますが、5月8日、モーリスセンダック氏が亡くなりました。
「かいじゅうたちのいるところ」と言えば誰もが知っている、あの本の著者です。
「食べちゃいたいほど、おまえがすきなんだ」というのはかいじゅうが発した言葉ですが、「すき」とは一つになろうとする力、そのもっとも強いものが、「食べる、食べられる」ということなんだなあと、食育のことを考えてる時に、思わされました。
「まよなかのだいどころ」「まどのそとのそのまたむこう」「こぐまのくまくん」「くまくんのおともだち」「かえってきたおとうさん」「うさぎさん てつだってほしいの」「かいじゅうたちのいるところ」「ねずみとくじら」がえほん館にありますので、どうぞ借りて読んでみてください。よみきかせをすると、子どもたちの集中ぶりに、絵本の力というものを感じることのできる絵本ばかりです。彼はほんと、魔術師です。
異次元空間を描きだしそれをするりと抜けて行くドライヴ感は絶品です。
「あまりにもしばしば見過ごされているのは子どもたちがごく幼いうちからすでに自分を引き裂く感情とはおなじみであるということ、恐怖と不安は彼らの日常生活の本質的な一部であるということ、彼らは常に全力を尽くして欲求不満と戦っているのだということです。そして、子どもたちがそれらから解放されるのは、空想によってなのです。」
こんなふうに子どもを洞察できるひとだから、その作品は子どもの魂をつかんで離さないのでしょうね。
地上の大きな星がまたひとつ消え、天空の星になりました。