寒空のただ中に春が来た

えほん館の時間に、学生ボランティアさんが「春を見つけた」という紙芝居を読んでくださいました。そして私が園児たちに、「みんなも春を見つけてみてね」と言いました。

その日のお迎えの時間、外から年長組の園児が二人、息せき切ってやって来て「えんちょーせんせー、春を見つけたああああ! ちょっと来てえー!」あわてて靴をはいて彼らの後を追いました。すると「春を見つけた!ほらー!さくら!」といってお隣の庭を指さすので、見ると、この何日かの凍てつく空気の中をあたたかい色の花が灯っているのでした。

こんな時に園長をしている悦びを感じます。子どもたちの鮮烈な感性、そのまっすぐな発露。すばらしいですね。さらに、花によってもたらされたその喜びを、わざわざ私に伝えに来てくれるというのが、嬉しい。本当のよろこびは他者と分かち合わずにいられないものだということを、思うのでした。

 

目次