夏は研修ということで、先日の園内研修も充実していましたよ。カリキュラムに関わることで、たくさんの意見が出されて、議論が盛り上がりました。
20,21日は松江で、中国5県の、中国地区教育研修大会が開かれました。4人参加しました。1日目は映画監督の錦織良成さんと島根大学の肥後功一先生の2つの講演を聞きました。錦織さんの故郷密着型の話は面白く、肥後先生の洞察の深さは近年あそこまでの深い話は聞いてないなあと思えるほど、素晴らしいものでした。
2日目は島根の北陵幼稚園で公開保育があり、どうしたってうちの園との違いが意識されて、これまた勉強になりました。ここでも肥後先生のコメントがあり、子どもの見方に関する深く徹底したまなざしを見せつけられました。ここでも大きな収穫ありです。
23,24は幼児教育実践学会が東京の家政大学であり、池淵先生と園長がお魚探検隊のことで発表してきました。県の大会とタイトルを変え「風土的身心」とし、県の発表に加えて園長が「22世紀をむかえるために」お魚探検隊をするのだという意味づけをしてきました。ローカルなものこそ普遍性を持つというのは宮澤賢治に教えてもらったことですが、そのことを実証すべく、全国から熱心な幼稚園の先生が自主的に集まるこの学会で、われわれの保育実践をぶつけて来ました。
池淵先生はこわがり園長ははしゃぐ帰りの飛行機では、富士山が見えました。かつて飛行機に乗った時、一面雲しかないまばゆい世界を飛んだことがあったのですが、そこに一か所だけ三角な土っぽい黒いものが見える。それはやはり富士山でした。日本国土はあますとこなく富士のすそ野だ! 「富士は日本一の山」だということに妙に納得。
「風土的身心」という発表タイトルは、われわれ人間の位置を示してもいるのです。富士山は「風土」の「土」。地上的なものの代表です。われわれの身体である土を、あるいは地球を象徴しているものです。
この写真は機内から撮ったものなので写りが悪いですが、下に見えるのが富士山です。そしてなんと月まで出てきた! 月は天空にあるもの。富士山が地なら月は天、これで天地がおさめられます。天とは地上を超えた聖なる場所。仏教ではその真理を月に象徴させることがしばしばあります。「風土」の「風」は形なきもので、地上にも風は吹くのですが、それは単なる自然現象ではなく、天的なものです。
写真の真ん中の黒いものは、飛行機の翼です。これは人類の技術の粋を結集したもので、人間を象徴しています。「風土的身心」の「身心」とは人間のことです。
人間は地にも属し天にも属す。天地に張り渡され天地に支えられながら、それなのにその中間にいる存在なのです。天に届かない知性を振り回して満足し体を忘れて大地から切り離されると宙ぶらりんです。人間は天でも地でもないけど、人間だけでもない。天地と共に描かなければ人間は描けない。
そんなことが飛行機の窓から見えた光景であり、それが一枚の写真に納まっていて、ボケてるけどいい写真だなあ、「風土的身心」だなあと思ったのでした。、