年長5歳児すみれ組。
フェスティバルの劇「ピーターパン」。現在いろんなクラスに飛び火しているこの物語。
昨年から配役オーディション制度を導入しています。もちろん自選・他薦は問いません。
こちらはオーディションの様子。なりたい役のオーディションに参加する子どもたち。審査員はもちろんすみれ組のお友だち。
面白かったなぁ、このオーディション。それぞれありとあらゆる方法で表現を工夫したり、感情移入してセリフを言ったりするんだもん。
だからその後ほかのクラスで流行ることになる「ピーターパンごっこ」はすみれ組の役者たちの言い方・表現を真似たものでした。いかに「言葉」が影響を及ぼすのか、いかに「言葉」が大切か考えさせられた担任です。
今回はそれはさておき、今や小さいクラスのカリスマとなっている劇「ピーターパン」。
その配役の中で唯一オーディションが行われることなく、審査をパスした子どもがおりました。
役名は「すみれ組の制作名人」。役どころは「みんなが困ったときに制作で何とかしてくれる」。という漠然としたイメージの役です。
子どもたちの言うことには「そんなの○○君しか出来んわ!」
なぜ「この子」がたくさんいる子どもたちの中で、全ての子どもたちに選ばれたのか良く分かるブログです。
進級間もないある日。君が作り出した「鳥」は、誰も見向きもしなかった古紙ボックス(これからリサイクルセンターに向かう使い古した紙)の中から生まれました。
古紙と呼ばれた紙切れは、君の魔法の手で生命を持ったのか、今にも羽ばたきそうです。
先生が魚マニアですから子どもたちが魚に興味を持ち出します。そんな中初めて粘土板に海の世界を作ったのも君でしたね。
ほかの子が魚の作品を作りだす頃に君は、頭の中が「キリマンジャロ」とか「エベレスト」とか世界の山脈に興味を持っていました。
そういえば君は満足のいく作品ができるといつも先生を友だちのように呼んでくれました。
シンプルだけど時間をかけて作ったこの作品名は確か「マンハッターホルン」。
形や形状の特徴を時間をかけて先生に説明してくれましたね。
いつもナイスリアクションで先生を楽しませてくれる君。これは初めて「甘茶」を飲んだ時の表情。多分君はいつも先生の感性の一歩先をスキップして歩いているんだと思います。
だって黄葉したイチョウをみて本当に感動している子を先生初めて見たもん。
夏が終わりかけの頃、あんなに山にはまっていた君は、突然「海」の世界に帰ってきました。君が作った「クラゲ」は先生の眼前を優雅に泳いで行きました。
この頃は「先生!僕が5年生になったら川にキャンプ行こう!テントは僕が作って、魚を釣るのは先生!で料理は一緒!!あっ!やっぱり釣りも一緒!」と海人の先生をまさかの川キャンプに誘ってくれましたね。
何で君の作る作品は先生も含めてすみれ組を驚愕させるのだろう?先生本当はその秘密を知っています。
君はこれからハマっていくであろう興味のあることをまず平面で捉えます。魚が君の中で流行している初期、君はいつも図鑑をうつし絵していました。
これは建築で言えば設計にあたるのかな?
君のすごいところは、平面をすぐに頭の中で立体に出来るところ。
ただの新聞紙も君にかかれば「イソギンチャクとアメフラシ」というマニアックな構図を実現してしまいます。
特徴は「自分の好きなものを自分の好きなように作る」ということ。
君が触れたものは「魔法」のように生命を吹き込まれ、
楽しそうに飛んだり、跳ねたりしています。
でも本当に飛んだり、跳ねたりさせてもらったのは先生かもしれません。
今ほかの子が作っている、球状に突起物のついた不思議な立体は君が創ったものでした。説明書なしにゼロから君はこんなものを創ります。それも毎日です。君が創ったものはすみれ組の遊びに「変化」をくれます。
君は流行りに敏感です。でもその流行りは君だけの時間軸の中にあります。なぜなら、君は他の人の流行を追いかけるのではなく、自分の中の興味と関心を追求するからです。
君が友だちと会話を弾ませて指差した場所にはいつも新しい作品が生まれます。きっとこれからもそうだと思うし、これからもそうであってほしいと思います。
もう君の感性は画用紙一枚では追いつきません。
先生は君の頭の中は迷路だと思っていましたが、訂正します。
「迷路」ではなく「銘路」です。
これで君が制作名人と呼ばれる所以がよくわかりました。